偉大なる父祖ダーレーアラビアンーーーエクリプスから数世代を経て現れたセントサイモン、ファラリス、ゲインズボローという歴史的種牡馬たち。
そのうち第2回で紹介したセントサイモンはキングファーガスやブラックロックを経たサイアーライン、
そしてファラリスはポテイトーズやストックウェルやボナヴィスタを経たサイアーライン、
ゲインズボローはポテイトーズやタッチストンやハンプトンを経たサイアーライン、
ということでそれぞれ枝分かれをしていきます。
今回の主役はエクリプス系が世界中に発展していく上で、
現代主流血統の始祖となり、
もっとも大きな役割を担っていると言える、
「ファラリス(Phalaris1913)」という偉大な種牡馬です。
■ファラリス(1913年 イギリス生まれ)
現代主流血統というのは超大まかにいうと
①ノーザンダンサー系
主にはこの3つとなります。
その他にももちろん反映しているサイアーラインはありますが、
この3つの系統が、現代の世界の競馬の主役であるというのは間違いないと思います。
ファラリスはその子供である「ファロス(Pharos1920)」を経て、
ノーザンダンサーやナスルーラ、そしてサンデーサイレンスやロベルトなどの祖となる世紀の大種牡馬「ネアルコ(Nearco1935)」を排出します。
(※ネアルコに関しては、後にまた書いていきたいと考えています。)
そんなわけで現存するサラブレッドのおおよそ8割が、
ファラリスの父系統を引き継いでいるというのですから、
その血の影響は絶大ですね。
さて・・・
そんなファラリスですが、現役時代は以外にも(?)スプリンターとして活躍した馬でした。
ファラリスの母がスプリンター要素の濃い血を持っていて、
その影響が強く出たのが要因だったようです。
マイル辺りまではなんとかこなすけど、
ベストはスプリントという馬だったということなので、
ステイヤーが重宝されていた当時ですから、
この馬に当時の主流となっていた大レースでの活躍は望むべくも有りませんでした。
それでも競走成績はセントジョージハンデキャップ、ジューンステークス、チャレンジステークスなどを含め24戦16勝というものですから、
十分立派な競走馬だったんですけどね。
種牡馬入りしたファラリスですが、
ステイヤーを好む所有者に一度は売却されそうになりました。
しかし買い手がつかずそのまま仕方なく共用されたところ大成功を収めたということですから、
血統というのは分からないものですね。。。
ファラリスは種牡馬として1925年、1928年の英リーディングサイアーを獲得していて、
・1924年のチャンピオンステークスを制覇し、1931年に英リーディングサイアーとなり、大種牡馬ネアルコの父でもある「ファロス(Pharos1920)」
・1928年のセントレジャーステークス、1928年、1929年のチャンピオンステークスを制覇して、種牡馬として英リーディングサイアーに4度輝いた名馬「フェアウェイ(Fairway1925)」
・1936年、1938年米リーディングサイアーであり、ミスタープロスペクターの父祖となった「シックル(Sickle1924)」
など、後世に多大な影響を与える馬を輩出します。
そしてここでもう一つご紹介したいのが、
第2回の主役として書かせてもらったセントサイモンという偉大な馬の影響力です。
ファラリス自身も母母父にセントサイモンの血を持っている馬でした。
そして上記した「ファロス」「フェアウェイ」「シックル」は、
すべて母父が「チョーサー(Chaucer1900)」というステイヤーの馬だったのです。
(※「ファロス」と「ファラリス」は全兄弟)
その他アメリカの名馬「バックパサー(Buckpasser1963)」の祖先である「ファラモンド(Pharamond1925)」も、
「父ファラリス×母父チョーサー」という組み合わせで生まれた馬です。
ファラリスというスプリンターの血から、
時代に沿った名馬を誕生させるのを影で支えていたのが、
この「チョーサー」というステイヤーの存在だったのです。
そしてそして、この「チョーサー」の父こそが、
第2回の主役であった「セントサイモン」なのです。
つまり「父ファラリス×母父チョーサー」という名種牡馬たちは、
みな「セントサイモンの4×3」のインブリードを必然的に持っていた、
という事になるんですね。
第2回で紹介したセントサイモンという馬。
父系としてのサイアーラインは衰退しても、
父の母系や母系に入って絶大な影響を与えていると書いた理由が、
これでお分かりになったのではないかと思います。
チョーサーというセントサイモン系の最高の相方と出会って、
その血を世界中に発展させたファラリス。
今週も競馬が行われますが、
ぜひ出走馬の血統表をたどっていっていただきたいと思います。
そこには、かなりの確立で「ファラリス」という名前が存在するはずなので・・・
今回も最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
ではまた次回(^^)