血統入門【第11回】快速の遺伝子、芦毛のグレイソヴリン

イギリスに産まれ、

アメリカの地を起点にその快速の遺伝子を広めた偉大なるナスルーラ

 

ここからは何回かに分けて、

そのナスルーラがその後どのように分岐して、

系統を発展させて現代の競馬につながっているのかを書いていこうと思います。

 

今日の主人公は芦毛の快速馬グレイソヴリン。

芦毛中興の祖」と言われた彼はどのような競争馬で、

どのように系統を発展させていったのか。

 

その様子を見ていきましょう。

 

■グレイソヴリン(1948年 イギリス産まれ)

 


 

快速馬ナスルーラの仔。

半兄にエプソムダービー馬のニンバス(父ネアルコ)がいるという良血馬です。

ナスルーラネアルコの仔なので、ニンバスとグレイソヴリンは4分の3同血という事になりますね。)

 

グレイソヴリンはナスルーラの産駒の中でも、

特にそのスピード能力を強く受け継いだ馬でした。

 

スピードに特化したスプリンターで、

気性が荒く逃げか追い込みといった極端な先方を得意とする系統です。

(これは他の馬でも言えますよね。能力が高いのに気性で負けている馬は、

極端な戦法で穴を開けるので要注目です。)

 

イギリスのスプリント戦を中心に活躍し22戦8勝。

決して一流とは言えない競走成績でしたが、

スタートダッシュからのスピード持続を特に求められるイギリスのスプリント界で活躍したその適性は、

後に同じような適性を求められるアメリカでの種牡馬としての成功に繋がっていきます。

 

種牡馬としてのグレイソヴリン

兄の競争馬としての活躍もあって種牡馬入りしたグレイソヴリンは、

種牡馬としては兄を遥かに超える成績を残すこととなります。

 

中でも、

1959年に産まれ、父の芦毛を引き継いだフォルティノ

そして1965年に産まれたゼダーン

ともにフランスで産まれたこの2頭が、

やがて種牡馬としてグレイソヴリンの血を世界中に広めるていきます。

 

フォルティノのライン

フォルティノのラインは、主に以下のように発展していきます。

 

フォルティノ→カロ→カルドゥン→ジー

フォルティノ→カロ→シービークロスタマモクロス

日本で活躍したタマモクロスは、日本の芦毛馬の中でも屈指の名馬でしたね。

あの芦毛は、グレイソヴリンから脈々と伝わってきたものだったのです。

 

■コジーン(1980年 アメリカ産まれ)

ジーンは日本でも多くの活躍馬を輩出した重要な種牡馬です。

 

アメリカで3歳〜5歳まで競争馬としてタフに活躍して24戦10勝。

5歳時にブリーダーズCマイルをレコードで制した快速馬でした。

その年、全米最優秀芝牡馬に輝いています。

 

種牡馬としては1996年に北米のリーディングサイアーの座を獲得。

アメリカで産まれた産駒としてはスターオブコジーンが日本競馬でも馴染みがありますね。

日本競馬にも、

エイシンバーリンアドマイヤコジーン、ローブデコルテといった活躍馬を送り込みました。

産駒はマイルを中心に、父以上に幅広い距離適性を持っていました。

 

ゼダーンのライン 

ゼダーンのサイアーラインは、

 

ゼダーンカラムーンカンパラトニービン

という形で続いていきます。

 

皆様もご存知だとは思いますが、

このトニービンという血が非常に重要なので、

以下にご紹介していきますね。

 

トニービン(1983年 アイルランド産まれ)

トニービンアイルランドで産まれてイタリアで調教され、

競走馬としてデビューします。

イタリアを中心に活躍し27戦15勝。

 

遅咲きの凱旋門賞馬と言われていて、

4歳以降に力をつけて5歳でミラノ大賞典を連覇した後、凱旋門賞を制覇します。

その後返す刀でジャパンカップにも参戦しましたが、

残念ながら最後の直線で骨折し、5着。

それを最後に競走馬を引退することとなってしまいます。

(※ちなみに、このジャパンカップで優勝したのはアメリカの「ペイザバトラー」という馬でしたが、1番人気に推されて2着だったのが同じくグレイソヴリンの子孫であるタマモクロスでした。そして3着はオグリキャップでした。)

 

その後トニービンは社台グループに購入され、

日本で種牡馬生活を送ることとなります。

種牡馬として1994年には日本のリーディングサイアーの座を獲得。

自身が悔いを残した東京の直線で先頭を駆ける産駒を、

数多く日本競馬のターフに送り込む事となるのです。

 

 

ベガ、ウイニングチケットノースフライトサクラチトセオーエアグルーヴ

オフサイドトラップジャングルポケットミラクルアドマイヤ(カンパニーの父)・・・。

 

そして母父としても優れた産駒を数多く輩出します。

アドマイヤベガアドマイヤドンアドマイヤグルーヴハーツクライ

トランセンドアーネストリーカレンチャンルーラーシップ・・・。

 

ハイペリオンの血を色濃く持っているトニービンは、

長く、しぶとく、柔らかく、まさに東京の長い直線で持続的な末脚を発揮する力を、

産駒たちに伝えました。

 

そしてヨーロッパの超一流レースを制したタフなスタミナも、

産駒たちに受け継がれています。

(なので長距離レースとかローカルの早仕掛けの叩き合いにも強いですね。)

 

グレイソヴリン系の特徴って、

スピードなの??スタミナなの??とややこしくしているのは、

このフォルティノラインとゼダーンラインでその後の特徴が全く異なっている為だ、

と私は考えています。

(自分も最初はごっちゃになってしまったので笑)

なので、今回はそこをざっくりとでもお伝えできていたら幸いです。

 

 

父譲りのスピードと競馬ファンに愛される天性の毛色を持って産まれた、

芦毛の中興の祖グレイソヴリン。

彼の子孫たちは、

今もなお世界の競馬場で活躍し続けています。

 

今回も最後までご覧いただきありがとうございました(^^)

ではまた。