ナスルーラ系の第3弾
今回はナスルーラ系の中でも特にその後欧州で発展した、
レッドゴッドについてお話していきます。
ここまでの復習をまとめると、
●ナスルーラはネアルコの子で、系統を世界中で発展させた偉大な種牡馬
●アメリカを中心に一勢を風靡したが、のちにノーザンダンサーに主役の座を譲ることになる
●ナスルーラ自身はスピードに優れた馬で、産駒もスピード馬が中心
●しかし柔軟性があり、母系にダート血統を迎えたボールドルーラーはダートに特化
●母系にスタミナ血統を迎えた産駒はスタミナ型にシフトしていき欧州競馬にも対応
今後ご紹介していくノーザンダンサーもそうですが、
やはり系統を発展させた種牡馬は、
自身の得意舞台のみに固執しない多彩な産駒を出しています。
なので、いわゆるこういった「根幹種牡馬」に関しては、
その種牡馬自身の特徴や距離適性だけに惑わされず、
多彩な産駒の特徴もしっかり把握して、
競馬予想や出資検討に取り入れていくことが重要だと感じます。
本日は、ナスルーラ系の中でも後にスタミナを磨いていって日本競馬にも影響を与えた系統、
欧州で栄えたレッドゴッドのラインについてのお話をしていきます。
我々東サラ会員は一目置いてしまう名前の馬ですね笑
イギリスでデビューししばらく競走生活を送った馬でした。
その後またアメリカに戻ってそこそこの活躍をした後、
血統としては「父ナスルーラ×母父メノウ×母母父ブルドッグ」という配合で、
ナスルーラにバリバリの北米血統という組み合わせの馬です。
(メノウやブルドッグはいわゆる北米の雑草血統で、様々な馬の活性源なので、ぜひ名前だけでも覚えておいてください。)
気性面なども、ナスルーラの特徴をよく引き継いでいて非常に荒い馬だった様です。
レッドゴッドは競走馬としては決して優れた成績を上げた馬では有りませんでした。
しかし「トンビが鷹を産む」と言っては失礼かもしれませんが、
一頭の非常に優れた競走馬、種牡馬を輩出することで一気にその名を高め系統の祖となります。
その優れた馬が、
欧州の名馬ブラッシンググルームでした。
■ブラッシンググルーム(1974年 フランス産まれ)
ブラッシンググルームは、
「父レッドゴッド×母父ワイルドリスク(セントサイモン系のスタミナ血統)」
という組み合わせ。
スピードに寄った祖父と父にスタミナ血統を配合されたことで、
一気に欧州のスタミナ寄りの適性を持った馬が誕生しました。
競走馬としても非常に優れた馬で、
特に2歳時の成績が素晴らしく、ロベールパパン賞 、モルニ賞、サラマンドル賞、グランクリテリウムと、
フランスにおける4つの2歳G1をすべて制覇するという偉業を達成しています。
3歳時にもG3レースやフランス2000ギニーを含む7連勝。
エプソムダービーで3着に敗れ連勝はストップし、
ジャック・ル・マロワ賞2着を最後に現役を引退しました。
種牡馬入りしたブラッシンググルームは、
その良質なスタミナを産駒にもしっかりと伝えました。
日本では、ブラッシンググルーム→レインボウクエスト→サクラローレルのラインが非常に有名です。
サクラローレルも超強敵を相手に天皇賞・春や有馬記念を制したスタミナホースでしたね。
残念ながら種牡馬としてそのサイアーラインを残すことは出来なそうで残念ですが・・・
そしてもう一頭。
このブラッシンググルームにイギリスの良質なスタミナ血統を持つ牝馬が配合されて、
「ナシュワン」という素晴らしい馬が誕生します。
ナシュワンは、フランス生まれの競走馬で1989年の英2000ギニーと英ダービーを制して、
ニジンスキー以来の英クラシック二冠を達成しました。
競走馬としても素晴らしい戦績を残しましたが、
種牡馬としても優れた産駒を輩出。
母系に入ってスタミナ源としても活躍し、
現代の日本競馬にも大きな影響を与えています。
その代表格が、
凱旋門賞、パリ大賞典、ガネー賞など欧州の大レースを数多く制覇した、
バゴです。
バゴの産駒は日本競馬では地味な存在ですが、
菊花賞馬ビッグウィークや、
秋華賞馬で今年のタフなコンディションで行われた宝塚記念を制したクロノジェネシスなどのスタミナに優れた産駒を送り出しています。
この2頭のスタミナ源は、
間違いなくブラッシンググルームの由来と言えます。
「スタミナ型血統」というと、
やはりトニービンやサドラーズウェルズなどが最も頭に浮かびやすいと思いますが、
京都の長距離レースなどでは、
このレッドゴッドからどんどんスタミナを進化させて来た、
ブラッシンググルーム→ナシュワン→バゴのラインは要注意です。
ぜひこれから始まる秋競馬の長距離レースなどで、
注目してみてくださいね!
今回も最後までご覧いただき有難うございました。
ではまた(^^)