イギリスとアイルランドで計14回。
そしてフランスで 3回の計17回リーディングサイアーとなったサドラーズウェルズ。
古の大種牡馬ハイフライヤーの更新不可能という記録を塗り替え、
その産駒たちもやはり種牡馬として非常に優れ、
欧州を中心に「サドラーズウェルズ系」の大系統を築いていきました。
一方、競走馬時代にサドラーズウェルズの成績を大きく上回っていた僚馬、
その後「スーパーホーネット」の父でもある「ロドリゴデトリアーノ」以外に、
後継となる種牡馬を残せませんでした。
古くはファロスと全弟フェアウェイの成否もそうですが、
種牡馬の成功と言うのは本当に分からないものだと感じます。
いまや欧州競馬の支柱であるサドラーズウェルズの血。
今回はその繁栄の様子を見ていきましょう。
サドラーズウェルズは実に60頭以上のG1ウィナーを輩出しました。
地域が異なるので単純比較は出来ませんが・・・
日本のサンデーサイレンスとディープインパクトがそれぞれ40頭前後のG1ウィナー輩出という成績ですから、
その凄さが分かります。
特に英国のクラシックレースや愛ダービー、キングジョージ、凱旋門賞と言った、
芝の王道レースで素晴らしい成績を上げています。
以下にWikiさんから産駒の一覧をお借りして、
血統の繁栄を語る上で重要な活躍馬を抽出してみました。
まずは、サドラーズウェルズ系としてはこれを押さえておいてほしいと思います!
【1986年産】
オールドヴィック(アイリッシュダービー、ジョッケクルブ賞)
インザウイングス(コロネーションカップ、サンクルー大賞、ブリーダーズカップ・ターフ)
そこでは満足のいく結果を残せず、英・仏のチャンピオンホースとはなれませんでした。
種牡馬としては9頭のG1ホースを輩出していて、中でも1996年のジャパンカップを勝った「シングスピール」が日本でも馴染みの深い産駒です。
シングスピールは「ロゴタイプ」などを出した「ローエングリン」や、「アサクサデンエン」の父であり、オークス馬「シンハライト(父ディープインパクト)」や「シャケトラ(父マンハッタンカフェ)」などの母の父となっています。
【1987年産】
サルサビル(マルセルブサック賞、1000ギニー、エプソムオークス、アイリッシュダービー、ヴェルメイユ賞)
【1988年産】
オペラハウス(コロネーションカップ、エクリプスステークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークス)
→日本で種牡馬となり、G1を7勝した世紀末覇王「テイエムオペラオー」、2冠馬「メイショウサムソン」などを輩出しましたが、この2頭は後継種牡馬を輩出出来ておらず、残念ながら父系としては衰退してしまいそうです。
母の父としては「メジャーエンブレム(父ダイワメジャー)」や「レオアクティブ(父アドマイヤムーン)」などを出しています。
【1989年産】
エルプラド(ナショナルステークス)
→この馬は少し変わり種で、自身は欧州でナショナルステークスなどを勝って競走馬として活躍しましたが、
産駒としてはジョーハーシュ・ターフクラシック招待、セクレタリアトステークスなどを勝った「キトゥンズジョイ」とトラヴァーズステークス、ホイットニーハンデキャップ、ドンハンデキャップなどを勝った「メダグリアドーロ」が種牡馬として成功しています。
キトゥンズジョイの系統は特に芝に強い適正を見せて、
ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフなどを制して日本でも繁殖牝馬としての活躍が期待される「ステファニーズキトゥン」や、
エクリプスステークス、インターナショナルステークス、愛チャンピオンステークス、クイーンエリザベス2世ステークスなど欧州の芝戦線で活躍している「ロアリングライオン」などを輩出。
日本でも「ダッシングブレイズ」や「ジャンダルム」など芝適性の高い産駒が活躍していますね。
メダグリアドーロはなんと言っても、
アメリカでG1を5連勝した女傑「レイチェルアレクサンドラ」の存在が際立ちますね。
芝にも適正のある系統ですが、基本的にはダート適性の高い産駒が多くアメリカを中心に活躍馬を出しました。
→凱旋門賞を制した名馬ですが、種牡馬としては成功しているとまでは言えない感じですね。日本で種牡馬生活を送りました。
オールカマーを勝った「ホオキパウェーブ」や阪神ジャンプSを勝った「マヤノスターダム」を出しています。
そして母の父として、「モーリス」を出しました。この馬を元にその血を繁栄させられるかどうか、楽しみですね。
【1995年産】
ドリームウェル(ジョッケクルブ賞、アイリッシュダービー)
→なんか聞いたこと有りませんか?
有馬記念でダイワスカーレットの2着に激走した「アドマイヤモナーク」の父です。
【1996年産】
モンジュー(ジョッケクルブ賞、アイリッシュダービー、凱旋門賞、タタソールズゴールドカップ、サンクルー大賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークス)
→凱旋門賞でエルコンドルパサーと激闘を繰り広げたフランスの名馬です。
自身も産駒もクラシックディスタンスに非常に高い適性を見せていて、
●ハリケーンラン(凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークス、アイリッシュダービー、タタソールズゴールドカップ)
●モティヴェイター(レーシングポストトロフィー、エプソムダービー)
●オーソライズド(レーシングポストトロフィー、エプソムダービー、インターナショナルステークス)
●フェイムアンドグローリー(クリテリウムドサンクルー、アイリッシュダービー、タターソルズゴールドカップ、コロネーションカップ、ゴールドカップ)
ジュークボックスジュリー(アイリッシュセントレジャー)
●セントニコラスアビー(レーシングポストトロフィー、コロネーションカップ3連覇、ブリーダーズカップ・ターフ、ドバイシーマクラシック)
●キャメロット(レーシングポストトロフィー、2000ギニー、エプソムダービー、アイリッシュダービー)
→初年度産駒から愛ダービー馬「ラトローブ」やベルモントオークス馬「アテナ」が出ていて、
先々が楽しみな種牡馬です。
【1998年産】
ガリレオ(エプソムダービー、アイリッシュダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークス)
→ヨーロッパの競馬を席巻している、サドラーズウェルズの筆頭後継種牡馬です。
この馬は後に別途詳細に書いていきたいと思います。
血統も素晴らしく、母「アーバンシー」は凱旋門賞を勝った一流馬でしたが、
2000ギニー、ダービー、凱旋門賞などG1を6勝した「シーザスターズ(父ケープクロス)」、
伊愛でG1・2勝の「ブラックサムベラミー」(※後述、父サドラーズウェルズ)などを輩出しています。
ガリレオの産駒や孫たちは、近年の欧州競馬の主役となっていて、
→香港の名馬「エグザルタント」などを輩出。
●ニューアプローチ(英ダービー、愛チャンピオンS、英チャンピオンS、デューハーストS、ナショナルS)
→G1を4勝した「ドーンアプローチ」や日本で活躍中の「ダーリントンホール」の父。
●ケープブランコ( 愛ダービー、愛チャンピオンS、アーリントンミリオン、マンノウォーS、ターフクラシック招待S)
→日本で「ランスオブプラーナ」が活躍中。
●リリーオブザヴァレー(オペラ賞)
→「ヴァンキッシュラン」や「セントレオナード」、「リリーピュアハート」
●フランケル(英2000ギニー、英チャンピオンS、インターナショナルS、サセックスS2回、クイーンエリザベス2世S、セントジェームズパレスS、クイーンアンS、ロッキンジS、デューハーストS)
→デビューから14戦無敗(うちGIは通算10勝、9連勝)という無敵の戦績を誇った最強馬です。
種牡馬としても大活躍中で、主に欧州の芝で高い適性を見せています。
日本でも「ソウルスターリング」、「モズアスコット」、などを出していて、
芝でもダートでもG1を勝っていますから、
その能力の高さと汎用性は素晴らしいものがありますね。
●ナサニエル(キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、エクリプスS)
→現在の欧州競馬の主役と言える女傑「エネイブル」の父です。
●ノーブルミッション (Noble Mission) - 英チャンピオンS、タタソールズゴールドカップ、サンクルー大賞
→フランケルの全弟ですね。
●ルーラーオブザワールド(英ダービー)
●マジシャン(愛2000ギニー、BCターフ)
●オーストラリア(英ダービー、愛ダービー、インターナショナルS)
●ファウンド(凱旋門賞、BCターフ、マルセルブサック賞)
●グレンイーグルス(英2000ギニー、愛2000ギニー、セントジェームズパレスS、ヴィンセントオブライエンナショナルS)
→産駒の「ショックアクション」が新潟2歳S)を勝ちました。
●ハイランドリール(BCターフ、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス、香港ヴァーズ2回、プリンスオブウェールズS、コロネーションカップ、セクレタリアトS)
●オーダーオブセントジョージ(アスコットゴールドカップ、愛セントレジャー2回)
●マインディング(英オークス、英1000ギニー、クイーンエリザベス2世S、ナッソーS、プリティーポリーS、フィリーズマイル、モイグレアスタッドS)
●ユリシーズ(インターナショナルS、エクリプスS)
●ヴァルトガイスト(凱旋門賞、サンクルー大賞、ガネー賞、クリテリウムドサンクルー)
●チャーチル(Churchill) - 英2000ギニー、愛2000ギニー、デューハーストS、ヴィンセントオブライエンナショナルS)
●カプリ(愛ダービー、英セントレジャー)
●マジカル(英チャンピオンS、愛チャンピオンS2回、ブリティッシュチャンピオンズF&MS、タタソールズゴールドカップ2回、プリティーポリーS)
●アンソニーヴァンダイク(英ダービー)
●ジャパン(インターナショナルS、パリ大賞)
●ラヴ(英オークス、英1000ギニー、ヨークシャーオークス、モイグレアスタッドS)※凱旋門賞回避だそうで、、、残念です。
近年は日本馬もかなり欧州遠征が盛んですから、対戦相手として名前を見かけた馬も多いと思いますし、
日本でもかなり有名な馬や凱旋門賞などの一流レースを制した馬がかなり多く出ていますね。
母の父としては
●カンタービレ(父ディープインパクト)
●ガイヤース(父ドバウィ)バーデン大賞、コロネーションカップ、エクリプスステークス、インターナショナルステークス
●キングオブコージ(父ロードカナロア)目黒記念
●ソットサス(父シユーニ)ジョッケクルブ賞、ガネー賞
などを輩出しています。
【1999年産】
ハイシャパラル(レーシングポストトロフィー、エプソムダービー、アイリッシュダービー、ブリーダーズカップ・ターフ2回、アイリッシュチャンピオンステークス)
ブラックサムベラミー(ジョッキークラブ大賞、タターソールズゴールドカップ)
→ガリレオの全弟です。
【2000年産】
リフューズトゥベンド(ナショナルステークス、2000ギニー、クイーンアンステークス、エクリプスステークス)
→仏オークスやサンクルー大賞などを勝った「サラフィナ」の父です。
【2005年産】
リッスン(フィリーズマイル)
→「タッチングスピーチ」や「サトノルークス」の母です。
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■母の父(ブルードメアサイアー)としての主な産駒
【1993年産】
フサイチコンコルド(父カーリアン:日本ダービー)
【1995年産】
ディクタット( 父ウォーニング:モーリス・ド・ゲスト賞、スプリントカップ)
エルコンドルパサー(父キングマンボ:ジャパンカップ、NHKマイルカップ、サンクルー大賞)
【1997年産】
サキー(父バーリ:凱旋門賞、インターナショナルステークス)
【2000年産】
ヘヴンリーロマンス(父サンデーサイレンス:天皇賞・秋)
→産駒の「アウォディー(父ジャングルポケット)」は ダート中距離で活躍
【2001年産】
アメリカンポスト(父ベーリング:ジャン・リュック・ラガルデール賞、レーシングポストトロフィー、プール・デッセ・デ・プーラン)
【2002年産】
ディヴァインプロポーションズ(父キングマンボ:モルニ賞、マルセルブサック賞、プール・デッセ・デ・プーリッシュ、ディアヌ賞、アスタルテ賞)
シーザリオ(父スペシャルウィーク:優駿牝馬、アメリカンオークスインビテーショナルステークス)
→この馬はエピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアなどを出していて繁殖牝馬としても超一流ですね。
【2005年産】
ヘンリーザナヴィゲーター(父キングマンボ:2000ギニー、アイリッシュ2000ギニー、セントジェームズパレスステークス、サセックスステークス)
コンデュイット(父ダラカニ:セントレジャーステークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス、ブリーダーズカップ・ターフ2回)
【2006年産】
アンライバルド(父ネオユニヴァース:皐月賞)
→名牝系バレークイーンの一族。種牡馬としてはイマイチですね・・・
【2007年産】
ワークフォース(父キングズベスト:ダービーステークス、凱旋門賞)
→「ナカヤマフェスタ」の世界一を阻んだ馬として日本でも有名ですね。
エイシンアポロン(父ジャイアンツコーズウェイ:マイルチャンピオンシップ)
【2008年産】
イモータルヴァース(父ピヴォタル:コロネーションステークス、ジャック・ル・マロワ賞)
【2009年産】
ザフューグ(父ダンシリ:ナッソーステークス、ヨークシャーオークス、アイリッシュチャンピオンステークス、プリンスオブウェールズステークス)
【2011年産】
タグルーダ(父シーザスターズ:キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス、英オークス)
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