【有馬記念】考察⑥今年のレース分析(下半期)

さて、上半期は古馬戦線、クラシックともに、

レベルの高いレースが多くありました。

 

しかし同じハイレベルレースの中にも、

スタミナ寄りとスピード寄り、あるいはその両方を高次元で求められるレースと、

求められる適性が異なるものが存在します。

 

注目の下半期のレースはどうだったのか・・・?

予想精度を大きく上げるべくしっかりと分析していきましょう!

 

オールカマー(中山芝2200m・良)

①2-2 ジェラルディーナ

レースラップ:12.3 - 11.6 - 12.6 - 12.4 - 12.2 - 12.1 - 12.0 - 11.9 - 11.8 - 11.7 - 12.1(2.12.7)

 

同コースのセントライト記念を勝っているバビットの作った平均的、均一的なペースのレースで、

基本的には前有利、そして超内有利というトラックバイアス。

 

ジェラルディーナはウインマリリンの日経賞オールカマーの勝利を演出した、

横山武史のインベタ先行抜け出し先方が強烈にハマって、

強敵ロバートソンキーを振り切っての重賞初制覇。

 

2着が1番枠のロバートソンキー、3着が3番枠のウインキートスということで、

内有利のバイアスは明らかでしたし、

人気薄だったバビットが4着善戦したことで、

前有利の展開だったことが証明されています。

 

テーオーロイヤルやデアリングタクト、ヴェルトライゼンデという有力馬たちが

展開に恵まれなかったとはいえ、

しっかりと下しているので価値の高い一戦でした。

 

ただ・・・前半の緩み方と後半のラップを見ると、

有馬記念向きのタフさではなく、2000m戦にちかいスピードや器用さが求められたのだろうというのが個人的な見解。

 

神戸新聞杯(中京芝2200m・良)

①4-7 ジャスティンパレス

③2-2 ボルドグフーシュ

 

レースラップ:12.7 - 10.6 - 11.4 - 12.6 - 12.7 - 12.5 - 12.3 - 11.6 - 11.4 - 11.2 - 12.1(2.11.1)

 

中京コースらしい特殊なラップ構成になったレースで、

スタートから長い直線で一旦加速→コーナーで隊列が決まって中緩み→直線に向けて再加速→直線トップスピードと、

割と器用さと機動力が問われるレースになったと思っています。

 

そんな中で、ジャスティンパレスは春の2戦が嘘だったかのような王道の先行抜け出しから、

直線入り口で謎の加速で他馬を引き離し。

直線でトップスピードに乗ると、そのまま内を器用に立ち回ったヤマニンゼストに3馬身半差をつけて完勝。

春とは別馬のように状態が良さそうで、ひと夏の成長を見せました。

 

3着のボルドグフーシュは、

鋭い末脚で追い込むも位置取りの差と外を回した分もあって、

0.7引き離されての入選。

上がりもあの位置取り差で0.1しか変わらなかったので、

ジャスティンパレスの完全勝利となったレースと言っていいでしょう。

 

このレースで経験値として大きいのは、

後続を幻惑するタイトルホルダーの逃げラップにも出てきそうな、

「加速→減速→加速」のラップを経験したこと。

 

右左のコースの差はあれど、

同じ中距離の非根幹距離のレースでこういった特殊ラップを経験できたのは、

3歳馬の有馬記念出走に取っては大きかったのではないでしょうか。

そういった意味での時計的価値も大きな一戦でした。

 

京都大賞典阪神芝2400m・良)

①6-10 ヴェラアズール

②2-2 ボッケリーニ

③7-11 ウインマイティー

⑪3-3 アリストテレス

 

レースラップ:12.1 - 11.2 - 12.5 - 12.6 - 12.3 - 12.8 - 12.6 - 12.4 - 11.9 - 11.3 - 10.9 - 11.7

(2.24.3)

 

同じ阪神2400mで行われていた頃の、

神戸新聞杯のようなラップバランスの後半4Fの末脚比べ戦。

 

ヴェラアズールの実力が1枚も2枚も抜けていたという結果で、

見た目にもインパクトの有る勝利でした。

ボッケリーニは善戦マンぶりを発揮してまたもや勝利はならず。

ウインマイティー阪神はやはり得意ですね。

 

このレース自体は全く有馬記念とはリンクしなそうですが、

不気味なのはサートゥルナーリアとワールドプレミア、レイデオロサトノダイヤモンドサウンズオブアースゴールドシップと、

過去の神戸新聞杯勝ち馬や好走馬が有馬記念での好走例が多いこと。

3歳時だけでなく、4歳になってからも好走しています。

 

距離、右回り、直線急坂という似た条件で末脚を発揮して勝った馬は、

有馬記念でも似た適性を求められて好走しやすいのでしょう。

 

菊花賞阪神3000m・良)

②2-4 ボルドグフーシュ

③8-17 ジャスティンパレス

レースラップ:12.3 - 10.9 - 11.7 - 11.9 - 11.9 - 12.1 - 12.6 - 13.3 - 12.6 - 12.1 - 12.1 - 11.9 - 11.9 - 12.2 - 12.9(3.02.4 R)

 

セイウンハーデスが飛ばして逃げる格好で、

前半1000mが58.7という自爆ペース。

 

このペースを終始2番手で追走して直線早めどころか4コーナーから先頭に躍り出て、

後続を凌ぎきったアスクビクターモアの強さが際立つレースでした。

今年のダービー組は、やはり強い。

 

そして2着のボルドグフーシュは、内枠を活かしてロスの無いコースを、

道中にするするとポジションを上げてくるという新境地のレースぶり。

これは鞍上の吉田隼人騎手が見事な手腕を見せました。

馬のキャラ的にも追い込んだようなイメージがありますが、

実は直線入り口ではポジションを上げきっていて、

結構好位置にいて前を射程圏に入れています。

 

頭が高い走法で不器用そうな馬ですが、

あのレース運びができて、有馬でも内枠を引けたのは大きなプラス材料でしょう。

 

ジャスティンパレスは神戸新聞杯の時と同様、

馬がしっかりしてきているからこその好位置でのレース運び。

この馬は惜しかったのが、4コーナー前で不利を受けて減速するシーンがあったこと。

そのまま馬がやる気を無くしてしまうかと思いきや、

力強く馬の間を抜けて、ボルドグフーシュと同じく直線入り口では絶好位でアスクビクターモアを捉えようとする位置に進出していました。

 

負い比べの結果、若干アスク、ボルドに競り負けた格好。

勝ったアスクは文句なしに強かったですが、

ジャスティンとボルドは枠順、コース形体、位置取り、不利の有無など少しのことで、

着順が入れ替わりそうな良いライバル関係と言えそうです。

菊花賞では枠が大外だった分、ジャスティンのほうがちょっと強かったかも?

 

レコード決着となったように、

前半飛ばす馬がいた事でタフな流れで実力がしっかりと問われるレース質に。

上位3頭は文句なしに強い馬ですが、反面でアスクが有馬を回避しているように、

反動が心配なレースでした。

当日の気配に要注目。

 

天皇賞秋(東京芝2000m・良)

①4-7 イクイノックス

⑬3-4 ポタジェ

 

レースラップ:12.6 - 10.9 - 11.2 - 11.3 - 11.4 - 11.6 - 11.8 - 11.6 - 12.4 - 12.7(1.57.5)

 

パンサラッサの鬼の大逃げが演出した奇天烈ラップのレース。

1着のイクイノックスの上がりが32.7

2着パンサラッサの上がりが36.8

と、上がり3Fで4.1秒も違うのですから、ものすごいレアケースなレースとなりましたね。

なんかいろんな意味で参考外な感じがしますが・・・

巷でも言われているように、イクイノックスの東京適正、末脚の鋭さ、

そしてルメールJの仕掛けどころの確かさ。

そのあたりを完璧に味わうことのできるレースだったと思います。

 

正しく「天才の一撃」

ですが有馬記念にはあまり繋がらないレースでしょうね。。。

 

アルゼンチン共和国杯(東京芝2500m・良)

①4-7 ブレークアップ

⑤6-11 ラストドラフト

 

レースラップ:7.2 - 11.0 - 11.3 - 12.8 - 12.8 - 12.6 - 12.3 - 12.7 - 11.8 - 11.7 - 11.5 - 11.6 - 11.8(2.31.1)

 

勝ったブレークアップは、キングオブドラゴンが少し話してややスロー気味に逃げるのを、

内目の3番手という絶好の位置で見ながらレースを進めました。

 

直線前半でキングオブドラゴンが内ラチに接触して大きくよれるも、

ブレークアップはすぐに立て直してスムーズな位置で追い出し体制。

直線半ばで先頭に立つと、そのまま後続を寄せ付けずゴールしました。

 

スタート直後こそ長い直線を活かして速いラップが出現したものの、

半ばは緩んで後半の5F戦になった形。

有馬記念と同じ距離ですが、コース形態の違う東京の2500でしたので、

求められる適正はけっこう違うものになったかな、と。

 

あとは失礼ながら、ラストドラフトが0.2秒の僅差5着に入線するようなレースだったので、

レベル的にも有馬記念には繋がらないかな・・・というのが、

率直な感想でした。

 

エリザベス女王杯阪神2200m・重)

①8-18 ジェラルディーナ

④7-14 アカイイト

⑩4-7 イズジョーノキセキ

⑯8-17 ウインマイティー

 

レースラップ:    12.6 - 10.9 - 11.8 - 12.6 - 12.4 - 12.3 - 12.2 - 11.8 - 11.9 - 12.3 - 12.2(2.13.0)

 

スタート直後から1コーナーまでの長い直線を利用して、

スピードに乗った逃げをローザノワールが披露。

スローにはしたくないタフな馬場に自信を持つ海外馬のマジカルラグーンがそれに続きました。

ウインマイティー、ウインキートスの2頭、

それに3歳有力馬が続く格好で、馬場が重めの牝馬限定戦の割には緩まない厳しいペースになりました。

 

結果的にこうした内目先行の馬は全滅してしまったので、

前目で器用に内を立ち回りたいというような馬には、

全く向かない馬場、ペースでしたね。

 

勝ったジェラルディーナは枠順の運も味方したのは確かでしたが、

クリスチャン・デムーロとのコンタクトもバッチリ。

外を回しながらしっかりと折り合いをつけて、

直線馬場のいいところに持ち出すと末脚を爆発させました。

 

4着のアカイイトも、昨年に続いて展開は向いたものの、

昨年のようにきれいにまくり切ることはできず、

なだれ込んで4着まで、という感じでした。

 

ジェラルディーナは強かったは強かったですが、

オールカマーに続いて枠順に恵まれた「特殊バイアスレース」

だったのは間違いのないところでしょう。

 

この馬自身の結果も重要ですが、

他の馬がどう好走・凡走したのかも非常に重要です。

 

ジャパンカップ(東京2400m・良)

①3-6 ヴェラアズール

⑰8-18 ボッケリーニ

 

レースラップ:12.8 - 11.2 - 12.3 - 12.5 - 12.3 - 12.2 - 12.4 - 12.1 - 11.7 - 11.4 - 11.3 - 11.5

(2.23.7)

 

ヴェラアズールはかかって頭を上げるようなシーンも有りましたが、

ムーア様の凄まじい抑制力と直線の捌きで凄まじい末脚を発揮して抜け出しました。

 

明らかにJCメイチだったシャフリヤールを抑え込んだのは立派ですが、

シャフリヤールが近年古馬になってそんなにパフォーマンスが上がらない「ダービー馬」であること。

それにシャフリの鞍上のクリスチャンが東京成績の良くない騎手であること。

 

また正直言って、メンバーレベルや前半の時計レベルが微妙だったこと。

さらに予想で言及したように、

「招待元のNF側がムーア様だけ無冠で帰すわけにはいかないはず理論(笑)」を考えると、

どうしてもJCがいっぱいいっぱいだった感があるかなと言うことで、

コース替わりも含めてヴェラアズールは今回結構厳しいのではないか?

と個人的には考えています。

 

 

▼下半期の実績からの印

ジャスティンパレス

◯ボルドグフーシュ

▲ジェラルディーナ