血統のエッセンス②〜日本競馬の革命の使者サンデーサイレンス編〜

​​​​​​​​​​​​さて、第二回目からはしばらく、日本競馬に革命をもたらした血、
サンデーサイレンスの系統について語っていきたいと思います。

サンデーサイレンスの詳細なプロフィールなどは、
Wikiなどで確認可能なので、
そちらもご覧頂ければと思います。
ここではエッセンス解説をテーマにして、
サンデーサイレンスという偉大な馬を身近に感じてもらえるような情報を中心に、
ご紹介していきたいと思います。

​■サンデーサイレンス
生年:1986年
生産国:アメリ
父:ヘイロー-Halo(米)
母:ウィッシングウェル-Wishing Well(米)
母の父:アンダースタンディング-Understanding(米)
戦績:14戦9勝(2着5回)
主な勝ち鞍:ケンタッキーダービープリークネスステークスブリーダーズカップ・クラシック

まずサンデーサイレンスに関してお伝えしたいのが、
「この馬は父も母もアメリカ産馬で、自身も現役時代はアメリカで活躍したバリバリのダート馬だった」
という事です。
日本ではサンデー直仔も孫の代の馬たちも、
芝でキレキレの脚を使う馬が多いので、ご存じなかった方は意外に思われるかもしれません。
「じゃあ、サンデーの芝適正はどこから来てるの!?」という疑問が自然に湧くと思います。
これに対して有力なものとして、
当時芝レースで世界的にかなり高いレベルを誇っていた、
アルゼンチンの血統である母母父のモンパルナス-Montparnasse(亜)が、
サンデー系の芝適正の大きな源泉になっているという説が有ります。

そしてもう一つが、
サンデーサイレンスは雑草血統だった」という事です。
これはこの後サンデーを語る上で、かなり重要な要素となります。

サンデーは父こそ系統を発展させているターントゥ-Turn-to→ヘイルトゥリーズン-Hail to Reason系統の大種牡馬ヘイローですが、
母のウィッシングウェルは自身としては12勝(うち重賞2勝)を挙げたものの、その母系を遡ると、
4代母までいずれも競走馬として勝利をした事が無い馬ばかり、という血統の馬でした。
また母の父であるアンダースタンディングという馬も全くの無名種牡馬で、
唯一の活躍馬がサンデーの母ウィッシングウェルという雑草っぷり。

​こうした事も有りサンデーサイレンス種牡馬入りした際、血統面では高く評価されず、
アメリカが日本への輸出を受け入れたという背景が有ります。
結果としてサンデーは日本のスピード芝競馬に高い高い適性を示し、
日本競馬界に変革をもたらす種牡馬となったような馬だったので、
我が国にとっては、これ以上ないラッキーだった訳ですね。

​■種牡馬としてのサンデーサイレンス
サンデーサイレンス種牡馬として日本に輸入してきたのは、
社台グループの先代である吉田善哉氏で有る事は有名ですね。
1991年から日本で種牡馬入りしたサンデーは、
初年度産駒からフジキセキ、ジェニュイン、タヤスツヨシマーベラスサンデー
牝馬でもダンスパートナーという名だたる名馬をいきなり輩出します。
このいきなりっぷりは、いきなりステーキの比ではありませんね。

その後もバブルガムフェローダンスインザダークサイレンススズカステイゴールドスペシャルウィークアグネスタキオンマンハッタンカフェ、そして日本競馬の結晶ディープインパクトと、
綺羅星の如く数々の名馬を輩出します。
(こちらに関しても、詳細はWikiなどで見て頂ければと思います。)

サンデーが種牡馬としてここまで革命的成功を収めたのはなぜか・・・
その理由を以下に説明しますね。

​①母方のストロングポイントを活かす柔軟性​
これはサンデーに限らず、世界で成功している種牡馬に共通している特徴です。
自分自身の特徴をガンコに伝える父親だと、
同じような産駒しか出せず、近いうちにその血は衰退してしまい勢力を拡大できません。

しかしサンデーは違いました。
母方がヨーロッパのスタミナ型であれば中距離~長距離馬を、
逆に米国型のスピード血統であればスプリンターのチャンピオンも輩出しています。
これは間違いなくサンデーが系統を発展させた大きな要因となっています。
※こちらに関しては、詳しくは次回以降で解説していきます。

②サンデー自身が雑草血統であった事
これは第一回でご説明した、「インブリードとアウトブリードの特徴」にも関連してくる事です。
上記の通り、サンデーサイレンスの母系は完全なアメリカの雑草血統でした。
「都会で活躍しているイケメン俳優が、田舎に遊びに行ったときに現地のギャルと一夜限りの過ちをおかし、その時に出来た子供が凄まじい才児だった」
種牡馬に対して失礼すぎるかもしれませんが、イメージとしてはそんな感じです(笑)

つまりそれが種牡馬としてどういう事かと言うと、
「欧州、米国の名血牝馬配合をしても、サンデー自身が強い異系(雑草)の逞しい血を持っている馬なので、強い活力と母系の名血のストロングポイントを持った産駒が産まれてくる」
という事なのです。
名血×名血×名血のエリート血統には、
決して無い「活力と逞しさ」がサンデーとの配合では得られるのです。
しかも、母方の良さをかき消してしまう事なく・・・

これは種牡馬として成功するのは当たり前ですね。

さて・・・
という事で、大一回はサンデー系の礎を築いたサンデーサイレンスに関して、
重要な要素をピックアップしてご紹介させてもらいました。

サンデー自身の競争成績や種牡馬成績、
産駒一覧などは様々なところで確認できると思いますが、
「なんでサンデーがこんなに日本で成功したの!?」という理由に関してはなかなか記載が無いと思うので、
参考にして頂ければと思います。

ちなみにサンデーサイレンスは、
大過ぎる種牡馬成績を日本競馬史に刻み続けている最中、
2002年に心不全でこの世を去っています。
この2002年という年は、日本競馬史上最強馬と言われる「ディープインパクトが誕生した年」です。

偉大な父からバトンを受け取ったこの馬は、
その後日本の競馬に大きな衝撃を与え、
今なお日本一の種牡馬として、多彩な活躍馬を輩出し続けています。

次回はそんなサンデーの、後継種牡馬たちのお話をしていきたいと思います。
子供たちも、サンデーと同じように母系の良さを生かす柔軟性を持った馬たちが、
基本的には種牡馬として成功しています。

​​​血統予想にも、活かして頂けると思いますよ!


​偉大なる種牡馬サンデーサイレンスに感謝と敬愛を。